ソルベイ未来化学賞は重要な科学的発見を表彰するものです。

2020年度ソルベイ未来化学賞は、スタンフォード大学(米国)化学科のCarolyn Bertozzi教授に贈られました。Bertozzi教授は生体細胞および生体内で生じさせることのできる生体直交型化学反応の手法を開発しました。この反応は細胞内の特定分子を分類するのに適用でき、それを画像化し薬剤標的を識別することで、次世代の生物学的製剤の開発が可能になります。それは最終的には特に癌や伝染病などの疾患の診断と治療に役立つものです。

ソルベイ未来化学賞は、化学の未来を方向付け、人類の進歩を支える重要な科学的発見に対して贈られるものです。この賞は、エルネスト・ソルベイの生涯にわたる科学的研究への支援と情熱を不朽のものにするため、2013年に設立されました。私たちが目指すのは、基礎研究を支え、世界で最も差し迫った課題を解決するのに、科学と産業として化学が極めて重要な役割を果たすことを強調することです。受賞者は隔年ごとに選ばれ、最も有望なプロジェクトに報奨金として300,000ユーロが贈られます。最初の受賞者となったのはPeter G. Schultz教授でした。そして2015年にはBen Feringa 教授(2016年ノーベル化学賞受賞者)、2017年は北川進 教授に授与されました。

 

Ilham Kadri & Jean Marie Solvay: ソルベイ賞は何を意味するのでしょう?

 

選考過程

今日の最も優れた科学者が、未来の最も有望な研究者をノミネートします。指名委員はいずれも著名な科学団体や化学協会の出身で、International Solvay Institutesの諮問員会やScientific Committees for Chemistryの元会員または現会員です。また過去にソルベイ賞を受賞した科学者、ソルベイ会議(Solvay Conferences in Chemistry)の招待客といった著名人もいます。 

こうした華々しいメンバーで構成される指名委員会が、生物化学、材料科学、ソフトマター、生物物理学、化学工学といった化学分野において、今後の化学を方向付ける業績を遂げた外部候補者を提案します。

この候補者リストから、国際審査員団がソルベイ未来化学賞の受賞者を選出します。

 

審査員団をご紹介します

Solvay Prize 2020
左から右: Pr Paul Chaikin,  Pr Anne De Wit, Pr Jean-Marie Lehn, Pr Geraldine Richmond, Pr Alan Fersht, Pr Susumu Kitagawa, Dr Patrick Maestro, Pr Håkan Wennerström

Håkan Wennerström:審査員長、ルンド大学(スウェーデン)理論物理化学教授、ノーベル化学賞の前審査員長。

Paul Chaikin :ニューヨーク大学(米国)物理学教授。専門分野は固体物理学、特にソフトマター。

Alan Fersht:ケンブリッジ大学(英国)化学科名誉教授、分子生物学研究所の化学者。タンパク質折り畳みの研究に取り組み、この分野の草分け的存在とされています。

Jean-Marie Lehn : Institut d’Etudes Avancées de l’Université de Strasbourg 教授、Collège de France(パリ)名誉教授。超分子化学分野の初期の革新的研究を行い、クリプタンド合成によりノーベル化学賞を受賞。

北川進 :京都大学高等研究院特別教授ならびに京都大学物質-細胞統合システム拠点の拠点長。有機-金属構造体(MOFs)分野の先駆者として主導的な科学者。第3回ソルベイ未来化学賞を受賞。 

Géraldine Richmond:米国科学審議会メンバー、オレゴン大学(米国)化学科教授。複雑表面と複合体界面の物理化学を理解するための基礎研究に取り組んでいます。

 

ソルベイの補助科学顧問をご紹介します。

Anne De Wit:Université Libre de Bruxelles(ベルリン)化学科専任教授 。International Solvay Institutes for Physics and Chemistryの国際科学委員会化学部門主事を務めています。

Patrick Maestro: Académie des Technologies (フランス)メンバーで、ソルベイのScientific Directorとして、ソルベイとCNRSおよび世界中の大学との複数の合同チーム創設に携わりました。

 

2020年度受賞者

2020年度ソルベイ未来化学賞はスタンフォード大学(米国)化学科のCarolyn Bertozzi教授に贈られました。Bertozzi教授は生体細胞および生体内で生じさせることのできる生体直交型化学反応の手法を開発しました。この反応は細胞内の特定分子の分類に適用することができ、それを画像化し薬剤標的を識別することで、次世代の生物学的製剤の開発が可能になります。それは最終的には特に癌や伝染病などの疾患の診断と治療に役立つものです。

 

Carolyn Bertozziをビデオでご紹介します

 

直交型化学とは?