コーティング向けの特殊ポリアミドイミド
トーロン® AI は、溶解性ポリアミドイミドの製品ラインで、パウダーとして提供しています。この製品は、強靭性、耐薬品性、熱安定性に優れています。また、多くのポリイミドに類似した耐熱特性を低コストで提供します。AI ポリマーをベースとするコーティングは、電気/電子部品、高温装飾、腐食防止の用途において高いコスト効果が実証されています。
トーロン® AI は水溶性バージョンも提供可能で、傑出した機械特性、耐熱性、耐薬品性、および耐摩耗性を有しています。
トーロン樹脂は本質的に不燃性で、卓越した電気特性を有し、超低温から 300℃までの非常に広い範囲で温度安定性を備えています。一部のグレードは FDA に適合しています。
特長
- 優れた耐薬品性
- 塩水煮沸試験で高い密着性
- 低粘度で加工が容易
- 引っかき抵抗性が向上
- 耐熱性(最大 288℃)
トーロン® AI-50
トーロン® AI-50 は 4000TF の水溶性バージョンです。固体成分組成ではトーロン® AI-30 に類似していますが、より低い粘度と、それに付随する加工上の利点が得られます。性能特性を最大に引き出すには、キャスト溶液を 250~300℃ まで加熱してキュアさせます。
トーロン® 4000T、トーロン® 4000TF
トーロン® 4000T は、種類の異なるジアミンから作られ、イミド化の程度が大きいという点で AI-10 と異なります。トーロン® 4000T 樹脂の製造にはメチレンジアニリン(MDA)を使用しません。トーロン® AI-10 と同様に、この材料は双極性非プロトン溶媒(NMP、DMAC、DMF、DMSO など)に溶解性を示し、固体分の割合で 35% 以上溶解します。性能特性を最大に引き出すには、キャスト溶液を 250~300℃ まで加熱してキュアさせます。
この製品には 4 種類のパウダーグレード(4000T-LV、4000T-MV、4000T-HV、微粒子サイズバージョンの 4000TF)があります。トーロン® 4000TF は、全体の 95% の粒径が 75 μm未満のファインパウダーです。明確な粒径が重要な用途には、トーロン® 4000TF を使用してください。
主要特性
主要特性(1)
AI-50 | 4000 T-LV |
4000 T-MV |
4000 T-HV |
4000 TF |
|
形状 | 湿った黄色パウダー | 黄色パウダー | 黄色パウダー | 黄色パウダー | 黄色ファインパウダー |
固形分含有量 [%] | 35 | 99 | 99 | 99 | 99 |
溶液粘度 [cP]、 濃度 25%、 溶媒 NMP |
7,000(3) | 42,000(3) | 85,000(3) | 7,000(3) | |
溶液粘度 [cP]、 濃度 7%、 溶媒:水 |
20 (2) | ||||
酸価 [mg KOH/gポリマー] | 125 | 20 | 15 | 10 | 20 |
(1)物性値はバッチごとに、仕様値の範囲内で変動します。ここに示した値は無着色樹脂の代表値です。着色剤を使用すると値が変わる場合があります。
(2)測定温度 25℃
(3)測定温度 40℃
顔料と添加剤
トーロン® コーティング樹脂と共に顔料や添加剤を使用することで、特定の用途に応じたコーティングや接着剤を配合できます。適する添加剤として、耐熱性の有機/無機顔料、充填材、特定のエポキシやフッ素樹脂コポリマーなどがあります。トーロン® コーティング樹脂が本来持っている色のため、白または非常に明度の高い色合いをうまく配合するには注意が必要です。
好ましくない水分吸収を防止するため、すべての顔料は密閉構造のミリング装置で粉状にする必要があります。同様に、吸湿性のある添加剤(ファイバー、コポリマーなど)は適切な水分レベルまで乾燥させてから配合する必要があります。
加工
トーロン® PAI ベースのコーティング剤の塗布には、スプレー、ロール、スピン、カーテン法を使用できます。通常、1 回の塗布処理で厚さ 10~20 μm のフィルム(乾燥時)を簡単に形成することができます。より厚いフィルムが必要な場合は、塗布を複数回繰り返します。
塗布方法にかかわらず、コーティング剤を塗布する前に、基材表面を適切に前処理しておくことが重要です。塗布の完了後、塗布装置をパージしてコーティング剤を除去し、その後は純溶媒で洗浄する必要があります。
Technical Data Sheets
トーロン® AI 製品のグレード
トーロン® 4000T | コンパウンディング向けの粗粒パウダー、低、中、高粘度が使用可能 |
トーロン® 4000TF | 4000T のファインパウダーバージョン、圧縮成形向け |