強度、美観、および向上した加工性
Kalix® HPPA(高機能ポリアミド)は、スマートモバイル電子機器に使用される構造部品向けに設計されています。高い強度と剛性、および高品質の表面外観が得られるだけでなく加工性も向上しています。
Kalix® HPPA製品は、ガラス充填率の高いコンパウンドです。モバイル電子機器の筐体、カバー、シャーシ、フレームなど、強度、剛性、および美観が重要な構造部品に関して金属の代わりに使用できます。
性能および加工の要件に合わせて、異なるベース樹脂が使用されます。加工性の向上項目として、反りや収縮が減少し、バリがほとんど発生しないことが挙げられます。
バイオ由来のグレードやハロゲンフリーの難燃グレードをご用意しています。
KALIX® HPPA のベース樹脂
Kalix® HPPA | ベース樹脂* | 主な特性 |
9000 シリーズ | PARA | 汎用 |
2000 シリーズ | PA 6、10 | 高い耐衝撃性、バイオ由来 |
5000 シリーズ | MXD6、改良型MXD6 | ハロゲンフリーで難燃性、低反り |
* PA:ポリアミド、PPA:ポリフタルアミド、MXD:メタキシリレンジアミン、PARA:ポリアリールアミド
グレード
Kalix® 9000 シリーズ
グレード | 説明 |
9950 | ガラスファイバー 50%、汎用 |
9945 HFFR | ガラスファイバー 45%、ハロゲンフリーの難燃性 |
Kalix® 2000 シリーズ、バイオ由来
グレード | 説明 |
2955 | ガラスファイバー 55%、高い耐衝撃性、2855 よりも低反り |
2855 | ガラスファイバー 55%、高い耐衝撃性、2955 よりも強度、剛性、および延性が高い |
Kalix® 5000 シリーズ
グレード | 説明 |
5950 HFFR | ガラスファイバー 50%、ハロゲンフリーの難燃性、低反り |
機械特性
引張り強さと引張り弾性率
ISO 527 試験方法
ノッチ付きアイゾット衝撃強さと破断時引張り伸び
ISO 180 および ISO 527 の試験方法
難燃性
グレード | UL94 の等級 |
Kalix® 9950 | HB(0.6mm、全色) |
Kalix® 9945 HFFR | V-0(0.4mm、全色) |
Kalix® 5950 | V-0(0.4mm、全色)、5VA(1.5 mm、全色) |
美観
表面外観
表面外観は、光沢と表面粗度のレベルに応じて異なります。Kalix® 5950 HFFR は最高の光沢と最低の表面粗度を持ち、全体で最も優れた表面外観が得られます。
表面外観
ISO 1997 および ISO 2813 の試験方法(金型温度 120℃)
調色
Kalix® HPPA製品は、薄い色や明るい色を含めた広いカラースペクトルに一致させることができます。モバイル電子機器産業で一般的に使用されているコーティング剤で塗装することもできます。
加工
グレードによって異なりますが、Kalix® HPPA製品は、反りや収縮が小さく、バリがほとんど発生しません。これらの優れた点により、寸法公差が小さくなり、バリ取りなどの後工程が少なくなるので一層低コストの製造が可能になります。
加工ガイドライン
金型温度 ℃ |
溶融温度 ℃ |
|
Kalix® 9000 シリーズ | 80~120 | 280~310 |
Kalix® 2000 シリーズ | 80~120 | 270~300 |
Kalix® 5000 シリーズ | 115~130 | 270~300 |
バリの測定値
試験方法:ソルベイ社内方式
収縮
試験方法:ソルベイ社内方式
吸湿率
ISO 62 試験方法、23℃の水に浸漬して 24時間後
バイオ由来ポリマー
Kalix® 2000 の製品は、食品用ではなく遺伝子組み換えではないヒマシ油由来のセバシン酸鎖のモノマーを含有しています。この再生可能な成分量は、バイオ由来の炭素含有量を求める ASTM D6866 の試験法に従って計算されています。
製品シリーズ | バイオ由来成分* | ベース樹脂 |
KALIX® 2000 のベース樹脂 | 61% | PA 6、10 |
Kalix® 2955 | 27%** | |
Kalix® 2855 | 27%** |
* ASTM D6866 に従って算出
** ガラスファイバー充填を補正したバイオ成分量